旭川の地酒4選!お店で味わう酒と肴も

大雪山系の伏流水と、その恵みを受けて育つ米・麦などの穀物、そして冷涼な気候に恵まれた旭川は、開拓時代から酒造りが盛んで、現在は3つの酒蔵と地ビール工場があります。今回は地域に根差した個性豊かなメーカー、そして店主らのアイデアが光る飲食店の肴の数々を紹介します。

水、原料、気候―土地が生み出す北の酒

屯田兵の入植、第七師団の設営と、人口が増えるにつれて旭川の日本酒造りも発展してきました。大正時代の最盛期には、17軒の酒蔵が市民に個性豊かな味を提供。戦後、メーカーの統廃合などを経て、現存する日本酒蔵は3つとなりましたが、平成8年には地ビール醸造所が誕生し、いっそう多彩な酒を生み出しています。

①伝統を受け継ぎ、恐れずさらなる挑戦へ

前身の山崎酒造が明治20年に札幌で創業、32年に旭川に移転し、昭和27年に法人化しました。43年には徳川将軍家の御前酒の一つとして絶賛された兵庫県伊丹の「男山」を継承し現在地に移転。47年に現在の社名に改め、北海道の自然の恵みを生かした酒造りで、名酒の味を現代に受け継いでいます。

酒造りのかなめとなる麹造りは、男山では職人の手作業で行われます。米のひと粒ひと粒をふんわり覆った麹のでき具合を丁寧に見極めるのは、杜氏の北村さん

仕込みの時期は、職人たちは数カ月にわたり泊まり込みで酒の面倒をみます。これほど大切に作られた酒も、コロナ禍で大きな打撃を受けました。「けれど立ち止まってはいられません。いっそう多くの人に喜んでもらえるよう、各部署からアイデアを持ち寄って新商品の開発に励んでいます」と杜氏の北村さん。全社をあげて情熱を燃やしています。

「男山 純米大吟醸」は1977年に、日本酒で世界初のモンドセレクション金賞を受賞。以来同社の酒は世界中に輸出され、アメリカなど20カ国以上で愛されています
男山株式会社/男山酒造り資料舘

住所/北海道旭川市永山2条7丁目1番33号
電話/0166-48-1931
営業/9:00~17:00
定休/年末年始

https://www.otokoyama.com/

②「この世に二つとない酒」を求めて

明治32年(1899年)創業。清麗な水質を誇る大雪山系の伏流水と、道産酒造好適米を原料に、純北海道産の酒を造り続けています。近年では雪国の自然環境を利用した雪中貯蔵酒や、道内の原料米生産地の地域特性を生かした日本酒造りにも取り組んでいます。

日本酒のもととなる醪(もろみ)造り。酒の味を左右する、重要な工程です

酒蔵併設の直売所「高砂明治酒蔵」では、代表銘柄「国士無双」シリーズのほか、季節限定酒や蔵元限定酒、生酒などを販売。試飲コーナーも備え、一人ひとりの好みに合った一本を見つけることができます。このほかリキュールや酒粕スイーツ、オリジナルグッズなどもあり、訪れる人を楽しませてくれます。

代表銘柄の「国士無双」。「この世に二つとない、後世に語り継がれるような酒に」と4代目が命名、誕生した淡麗辛口の酒です

工場見学
見学時間/午前10時~、午後3時~ ※それぞれ30分程度
3日前までの予約制
各回先着10名

高砂酒造株式会社/直売店 高砂明治酒蔵

住所/北海道旭川市宮下通17丁目右1号
電話/0166-23-2251
営業/9:00~17:30
定休/無休 ※年末年始は休業

https://www.takasagoshuzo.com/

人の目と手、機械のバランスが造る美酒

大正13年に旭川で設立した合同酒精株式会社「大雪乃蔵(たいせつのくら)」は、伝統を受け継ぐ地酒蔵として、地元産にこだわった酒造りを行っています。酒造りの重要な工程をオートメーション化、最適な温度や湿度管理衛生管理を徹底。同時に、長年培った技術で麹造りを行い、年間を通して質を安定的につことを実現しています 

最新の機材と高い技術力で、「本当にうまい、北海道ならではのうまい地酒」を目指しています

この蔵で造られている日本酒の原材料は、すべて道産米。酒造好適米の吟風(ぎんぷう)や彗星(すいせい)などを使い、看板商品の「純米吟醸 大雪乃蔵 絹雪」をはじめ、ワイングラスで楽しむ「Chateau TAISETSUNOKURA(シャトータイセツノクラ)」シリーズの「大吟醸 彗星40」、「純米大吟醸 吟風50」など様々な日本酒を製造しています

吟風を50%まで磨き、低温で仕込んだ純米吟醸酒の「絹雪」。絹のようななめらかさ、優雅な香りが特長です
オエノングループ 合同酒精株式会社/大雪乃蔵

住所/北海道旭川市南4条通20丁目1955番地
電話/047-705-7790 オエノングループお客様センター
※直売所はありません
※工場見学は行っておりません

https://www.oenon.jp/taisetsunokura/

④色、香り、味。こころ浮き立つ多彩な魅力を発信

平成8年に誕生したクラフトビールの醸造所で、国内最大級のビアコンテストで多数の賞を受賞する実力派。麦を麦芽にする技術や施設をもつ小規模醸造所は全国でも非常にまれですが、同社は独自の研究で製麦に成功。これにより地場の麦を原料として使うことができるようになりました。

長年使い込まれた銅製の窯。ビールのもとになる、麦汁をつくる作業を行っています

大雪山の雪解け水と、市内や近郊市町の小麦や米、ホップを原料に、多種多様なビールを作っています。「大雪ピルスナー」や黒ビール「黒岳」など定番商品のほか、近隣町で栽培された生ホップを使用した「暁」や豆腐店とコラボした豆乳入りビール、地元カフェと作ったコーヒービールなど、少量生産のユニークなチャレンジも広がっています。

醸造長の山崎さんの感性が光る多彩なビール。ボトルデザインも様々で、見ているだけで楽しい気持ちに
大雪地ビール株式会社

住所/北海道旭川市宮下通り11丁目1604番地の1
電話/0166-25-0400
営業/11:00~22:00
定休/無休 ※12/31~1/1は年末年始

https://www.ji-beer.com/

お酒と楽しむ料理たち

メーカー各社のお酒の魅力を知ったあとは、市内の飲食店で飲み比べを。あわせて楽しみたい料理と共に紹介します。

■海のないまちに、大漁旗がはためく!

創業50年以上の老舗の海鮮居酒屋。交通の要衝である旭川は三つの海から新鮮な海産物が集まることから、内陸でありながら新鮮な海の幸を味わうことができます。中でも長年、不動の人気を誇るのが「えぞ盛り」です。北海道をかたどった盛り皿には、本マグロ、ときしらず鮭、つぶ貝、ボタン海老など8~9品が並びます。この輝く新鮮なお造りと合わせるなら、男山の旭川限定特別純米酒「うまいがありすぎ旭川」がおすすめ。旭川産の酒造好適米と、大雪山系の伏流水で仕込んだ柔らかで口当たりのよい酒で、食事を楽しみながら味わうのにぴったりのすっきりとした辛口です。愛煙家に嬉しい喫煙席も完備。

紅く透明感のあるボタン海老の身をみれば、その鮮度のよさがわかります!えぞ盛りは2人前5,500円

飲める地酒メーカー
●男山
●高砂酒造

お座敷居酒屋 大舟

住所/北海道旭川市3条通6丁目右6号
電話/0166-22-2295
営業/17:30~23:00(日曜は~22:00)
定休/月曜日、祝前日(月曜日)

https://oofune.owst.jp/

■日本酒ナビゲーターの店主が営む個室型居酒屋

地産地消をモットーに、道内各地から取り寄せた食材で作る創作和食を振舞います。日本酒の香りや味わいにあわせて楽しみ方を提案する「日本酒ナビゲーター」の資格を持つ店主が勧めるのは、男山の旭川限定特別純米酒。大雪山系の伏流水を使用したスッキリとした辛口で、濃厚な料理との相性が抜群です。

冬にぜひいっしょに食べて欲しいのが、真タチのポン酢。稚内産の新鮮な真タチはとろりと濃く、甘いので酒のよさを一層引き立てます。ほかオールシーズン食べられる、比布町の大熊養鶏場「かっぱの建卵」で作るだし巻き卵も人気。全席個室なのも嬉しいポイントです。

北海道の冬の風物詩でもある真タチのポン酢(980円)。2月末迄まで提供します

飲める地酒メーカー
●男山
●高砂酒造
●大雪乃蔵

居酒屋 獅子豆

住所/北海道旭川市4条通8丁目買物公園アピスビルB1F
電話/0166-25-4410
営業/17:00~24:00 ※状況により時短営業の場合あり
定休/日曜日 ※変動の場合あり

ほっけやザンギなど北海道の家庭料理を召し上がれ

刺身、煮魚、焼き魚、ザンギにカキフライなど、道民の食卓に並ぶ家庭料理が食べられるアットホームな居酒屋です。カニなどの海鮮はオホーツク海に面した雄武(おうむ)町から直接仕入れ、季節料理として並びます。
おすすめの一杯は高砂酒造の純米原酒の国士無双「蔵人」。道産の酒造好適米きたしずくで造られた、蔵元限定の貴重な酒で、柑橘系の香りとすっきりとした飲み口で、和食と相性が抜群です。

鶏ささみのマヨネーズわさびあえ。ほんのりとした辛みが、「蔵人」に合います

この酒に合わせて店主が考案したのが鶏ささみのマヨネーズわさびあえ。マヨネーズのコクとピリッと清涼な辛みが、酒の繊細な風味によく合っています。

飲める地酒メーカー
●男山
●高砂酒造

酒・肴 五・八(ごっぱち)

住所/北海道旭川市5条通8丁目1071
電話/0166−23−3558
営業/18:00~22:00
定休/日曜日、祝日

■眼福な料理の数々。料理人の技が光る和食を堪能して

地場の食材を使った季節を感じられるコース料理や、一人前から注文できる刺身の盛り合わせ、道産牛のすき焼きなど和の逸品が楽しめる小料理店。写真は、表面をカリッと焼いた鴨が主役のサラダです。自家製の合わせ醤油に漬けこんだ鴨肉をじっくり低温で火を通すこと3時間。余分な脂が落ち、中までしっかりと味がしみながらも断面は美しいピンク色。柔らかく上品な味わいに、お酒が進みます。合わせる一杯は、合同酒精の大雪乃蔵を。さらりとした飲み心地で、甘みや旨みが主張しすぎず、料理の邪魔をしないので、食中酒におすすめです。

鴨サラダは850円。料理人がメニューにあわせて選ぶ器もお楽しみに

飲める地酒メーカー
●男山
●高砂酒造
●大雪乃蔵

弐乃雪屋

住所/北海道旭川市3条通8丁目マルオービル1F
電話/0166-24-3240
営業/17:00~22:30(LO21:30)
定休/日曜日・祝日

https://www.yuki-ya.co.jp/

■北海道の旨いがてんこ盛り!15時オープンの炉端が粋な吞み処

巨大な炉端で炙る新鮮な海と山の幸が、地元っ子にも人気の居酒屋。20席あるカウンターに座れば、料理人の仕事ぶりを間近に見ることができます。
いち押しの地酒は高砂酒造の「純米酒 国士無双」。お米の旨みと甘みがしっかり感じられる一杯で、濃厚なあん肝とよくあいます。冬季なら12月中旬頃から味わえる新酒もおすすめ。フレッシュで端麗な辛口なので、ぜひ飲み比べてみて。
このほか、炭火で炙ったしまほっけの開き(980円)は、脂がのってふっくらとやわらかく、忘れられない味になること間違いなし。もちろんお供には、脂をさらりと流してくれる地酒をお忘れなく。

冬限定のあん肝は790円。ポン酢しょうゆでいただきます

飲める地酒メーカー
●男山
●高砂酒造
●大雪乃蔵

炉端のユーカラ

住所/北海道旭川市4条通7丁目 662番地
電話/0166-23-1114
営業/15:00~24:00(LO23:30)
定休/水曜日

http://www.robata-yukar.info/

■直営レストランならではの、フレッシュな味をどうぞ

クラフトビールメーカー「大雪地ビール株式会社」の醸造所を併設した直営レストラン。100余年の歴史あるレンガ倉庫を改装した建物で、開拓時代の雰囲気を感じながら、いつでもできたてのフレッシュビールを味わうことができます。
人気の生ラムジンギスカンには、日本人の舌に馴染んだピルスナータイプの「大雪ピルスナー」を。ホップの華やかな香りとドライな味わいが、肉料理の後味を軽やかにしてくれます。ゆったり語りたい食後には、高アルコールの「黒岳」をどうぞ。キンキンよりも少し温めで、ずっしりした深い風味を味わう黒ビールです。

しっとり柔らかな生ラムジンギスカン。鮮度抜群のフレッシュビールを様々に合わせてみて

飲める地酒メーカー
●大雪地ビール
●男山
●高砂酒造
●大雪乃蔵

大雪地ビール館

住所/北海道旭川市宮下通11丁目1604番地の1
電話/0166-25-0400
営業/11:00~14:00(LO13:15) 17:00~22:00(LO21:30)
定休/無休 ※12/31~1/1は年末年始

https://www.ji-beer.com/

道内屈指の酒どころ・旭川。どのメーカーにも共通するのは、地域の自然の恵みを大切に、生かしていこうという熱い思いです。開拓の歴史とともに紡がれ、守られてきた各社伝統の味。飲食店で温かな料理と味わうのはもちろん、直売所や市内の酒屋で販売しているので、お土産にもぜひどうぞ。

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